浅草でゲストハウスをやらなくてよかった

前職の最終出社が2014年11月末、有休消化で書類上は2015年1月中旬が退社日となりました。2005年の4月に入社したので、約10年お世話になりました。

10年の間に、3年、5年、7年という時にやはり人生を考え直すタイミングがありました。何年が良いとかはないと思いますが、最低でもやはり3年間は何事も踏ん張ってやってみるというのはあるかもしれませんね。そして私の場合は10年というところで大きな転換点になったわけですが、10年、営業職をやってよかったなと思います。
営業職を通じて学んだこと

それでは乗鞍でゲストハウスを開業するまでに向けたお話をしていきたいと思います。

自分の場合、ゲストハウスという宿泊形態を選んだのは実は後付けなんです。
今、ゲストハウスを始めている若い人の多くは、まず「ゲストハウス」から入っていると思います。海外や日本のゲストハウスの体験が忘れられない、ゲストハウスのスタッフやオーナーの生き方や価値観に憧れるなど。そして、ゲストハウスは若い人が何か自分でやりはじめる上で、比較的やりやすい業態なのだと思います。特に資金とか経験面で。だからこそ、あとで述べますが、参入障壁が低い。

これまでのブログなどを読んでいる方はご存知だと思いますが、自分は大学時代に「温泉宿」をやることを夢見ていました。
ブログ初回
会社勤めの時も、いつかは温泉宿をやりたいと胸に秘めており、どうすればできるのかを考えていました。資金がないので、いきなり温泉宿なんかできない(ここでいう温泉宿は、温泉旅館のような形態)と思っていました。

そんな中、マチュピチュの旅行があり、航空券が高かったし、一人旅だったので安宿でいいやと思い、ゲストハウスに泊まっていました。自分は海外旅行の経験が豊富にあるわけでもなく、会社勤めの時は海外出張ではホテルに泊まっていたので、久しぶりに味わうゲストハウスの感覚に、「あっこれだ」と思ったのです。ゲストハウスであれば、宿泊施設としてのノウハウをそこまで気にしなくてもできる。かつ定員30人くらいであれば、リノベーション費用(初期投資)もそんなにかからないだろうという目論見。退社を決意したのと同時に、退社まで、そしてその後の起業から温泉宿までのマイルストーンを帰りの飛行機で描いていました。

2014年の5月のマチュピチュの時は、日本には昔ながらのライダーズハウスのようなものや、ユースホステルはありましたが、ゲストハウス、ホステルという形態の宿はまだ日本全国でリストにできるくらいの数(100件くらい)で、東京で40件くらいでした。ゲストハウス?何それって人が大半でした。
2016年には海外からの旅行者が2400万人となりましたが、2014年当時は、2013年に初めて1000万を突破という状況で、これから伸ばしていこうという国の政策がありました。だからこそ訪日観光客向けに都内でゲストハウスをやれば、温泉宿の資金を得られるかもしれないと思ったのです。

要するに、私がゲストハウスを選んだ最初の理由は、温泉宿をやるための資金を稼ぐ方法だったのです。
もちろん、普通のホテルや旅館よりは、ゲストハウスの雰囲気はとても好きだったので、ゲストハウスという宿泊形態に魅力を感じていました。

マチュピチュから帰ってきて退社の意向を伝えたのが7月末、そして、実はその後8月末頃から会社を辞める11月末まで、会社の休みの土日のどちらか1日は仙台のゲストハウスに夜、ヘルパーとして手伝いにいってゲストハウスの雰囲気や運営について少し学んでいました(暴)。

その後、退社してゲストハウス開業に向けて動き始めるわけですが、私が退社する前からまず目をつけていた場所が、東京の墨田区・台東区・江東区周辺。
東京の中でも賃料が比較的安いのと立地。ひたすら物件探しに不動産屋を巡りに巡って、ゲストハウスをやる上で適している物件を探し回りました。
ゲストハウスをやるための物件探しの詳細については、様々な方が詳細に書かれているブログがあるので、ここでは割愛します。

何件か候補が上がってくる中で、浅草雷門にも徒歩5分ほどの好立地で、ほど良い大きさの物件を見つけ、具体的な検討に入りました。
どのようなゲストハウスにするかデザイナーさんなども入れてプランを練り、収支計画や事業計画を書きました。

話はどんどん進み、ゲストハウスへのリノベーション計画とその費用、オーナーさんとの契約の打ち合わせもほぼ完了し、契約書の雛形もでき、後は私が判子を押してもっていくという段階にまで至りました。

しかし、私の中で、何かしっくこない違和感がありました。

一点目は収支計画
周りのゲストハウスの状況やこの立地を考えれば、年間を通じた定員稼働率は80%はいくだろうとの予想で、初期投資分は5~7年くらいの利益で回収できるだろうという試算がありました。その中で立地が立地だけに、家賃(賃貸でやる計画)も結構高かった(立地的には安い)ので、年間定員稼働率が60%はないと赤字になることが予想されていた。
ここから何が想像できるかというと、そんなに利益幅がないということ。高稼働率を維持できても、さらに利益を上げる幅も少なく、初期投資分回収で7年かけてたら、温泉宿への資金はいつ貯まるのだろうか?という疑念。しかもその資金を貯めるために、恐らくほとんど休みなしの営業を続けることになる。
果たしてそれって、自分が望んでいたことなのだろうかと。

二点目は浅草でゲストハウスをやる意義
浅草周辺には2015年1月現在ですでに15件ほどのゲストハウスがありました。ホステルをチェーン展開をしている会社もあり、自分だけでなく、多くの人がこれからゲストハウス・ホステルをはじめようとする動きがありました。私のような人間が何人もいて、参入障壁が低いんです。
その中で違いを作るために、何かを打ち出さないといけないことはわかっていましたが、資金力もない自分が浅草で違いを作る方法がイマイチ思い浮かばなかった。そもそも自分は自然が好きなのに、都会の歴史文化にどっぶり浸かっている姿も想像がつかなかった。
別に自分が浅草という土地でゲストハウスをしなくても、誰かがやる、自分がやる意味を見出せなかった。

ということで、最終的に、各方面にご迷惑をおかけしましたが、具体的な計画を立てたにも関わらず、浅草の物件から手をひきました。
2015年の1月だったでしょうか。今思えば辞めてからまだ2ヶ月しか経ってなかったんですね。この決断が出来たのも、前職でいろいろ経験を積んだからというのもあるかもしれません。

今思えば、浅草でゲストハウスをはじめなくて本当によかったと思います。
もちろん、まず自分が住む場所として乗鞍でよかったと思うのですが、ビジネスとして浅草でやっても相当苦戦していただろうなと思います。
今や東京だけで150件以上のゲストハウス・ホステルがあります。この2年で4倍ほどできたことになります。しかも大型化が進んで定員100名などのホステルも沢山できています。
夏のピークはそれでもまだ東京全体でベット数が足らない状況で、今後も訪日旅行者は伸びる。そしてまだまだゲストハウス・ホステルの開業もあるでしょう。その一方、ゲストハウス・ホステルの競争が激化し、資金力のある企業もどんどん参入した結果、クオリティーの高いゲストハウスが次々と出来き、価格競争も激しく、廃業する宿もあるそうです。
綺麗でオシャレでクオリティーが高いのに、ドミトリー1泊2200円とかあるんですよ。
自分がやろうとしていた浅草の物件も、今はやはりゲストハウスになっています。

自分が浅草でやっていたらどうなっていたかはわかりません。違いを作るために努力して、新たなビジネスも生み出してやっているかもしれませんし、埋没していたかもしれません。ただ、あの時感じた違和感のまま進めなくて本当によかったなと思うのです。

それと同時に、若者が都会でゲストハウスをやり始めることに少し危惧を抱きます
まず競争に晒され、個人ではじめる規模(定員30人未満)では、あまり利益の出るビジネスではないという点です。固定費を削るのは難しいので、削るのは人件費、有給スタッフを雇えば、利益を出すためには自分の給料を削らざるを得ません。そして、あまり休みが取れない。
そもそも旅好きで、ゲストハウスに憧れた人たちが、あまり旅ができなくなるのです。
仮にオーナーではなく、社員やスタッフとして働いていたとすると、経験やステップとして捉えているなら良いかもしれませんが、ずっとそのまま働こうと思っているのであれば、給料はあまり期待できないと思います。自分には楽しみがあるので、それでも良いというなら全然ありですが、都会の生活はお金を使うことも多いので、なかなか難しいのではないかと思うのです。

では、田舎が良いのかというと、もちろん、田舎にも課題は沢山あるので、それはまた追い追い話していきますが、私の知っている限り、田舎でゲストハウスをやっている人は、自分の好きなことをやりながら、のんびりまったりマイペースでやっている人が多いです笑
私がその一人ですが。
何より、遊び場が近くて最高。
好きな遊びがすぐにできる場所に住んだ方が良い。

さて、浅草を諦めた私が次にどう行動に出たかはまた次回にしたいと思います。

みなさん、ウキウキの夏ですね。
夏のピーク時にはさすがに1年で1番の稼ぎ時なので私は遊べませんが、すでに夏前の暇な時に遊んでますし、8月後半や9月に遊ぶ計画があります。
ここ、北アルプスの乗鞍高原はアクティビティーが盛りだくさん!!
大自然の中に遊びにきてくださーい!!

以下、ご参考まで。
乗鞍岳のご来光
天の川を見に行こう 乗鞍高原
マウンテンバイク&サイクリング 乗鞍高原
ヒルクライムの聖地 乗鞍エコーライン
夏・秋のハイキング登山情報
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