成長安定は如何にリピートしたいと思ってもらえるかどうか

サービス業(に限らず)のポイントってシンプルだと思います。
来た方が、また来たいと思うか、買った人がまた買いたいと思うかどうか、ですよね。これは地域としてみても同じですよね。来た方がその地域にもう一度訪れたいかどうか。価値、人、雰囲気、想い、値段などを総合して、リピートしたいと思うかどうか

今日はそのリピートを増やすための通常とは異なるアプローチや、継続的な成長安定するためのRaichoの取り組みを少し紹介します。

1.ピーク時(満室時)の宿泊人数を最大宿泊定員よりも減らしている。

宿泊施設であれば、稼げる時に稼ぐというスタンスで、繁忙期などは一人でも多く泊まってもらいたいと考えますよね。定員稼働率を如何にして100%にもっていくか。

昨年(2年目)の夏まではそういう考え方で運営していました。この秘境のゲストハウスに来て頂けるために、2年目までとりあえず認知度を上げ、可能性をどんどん広げるためにそうしていました。特にゲストハウスは単価が安いので、稼働率が上がらないと利益が出ないというのもあります。

しかし、昨年の夏のピークを越してから、その考え方は辞めました。
宿泊人数で25人以上になってくると、「混み合っている」雰囲気が出てきます。そして、宿泊している方とチェックインの後、ほとんどしゃべらずにチェックアウトになってしまうことがありました。ちなみに昨年の夏のお盆前後2週間は1日の宿泊人数が35人前後が続きました。


4月の上高地

Raichoの魅力であり乗鞍の最大の魅力は「大自然の中でゆったり過ごすこと」(こういうところを抑えておき、ブレないようにするのが重要)。
にも関わらず、宿の中が騒々しい、混んでいるというのは、明らかに満足度を下げることにつながります。温泉でゆっくりしてほしいのに、湯船に、「すみません」と間を割って入るような状態を作りたくない。そして、最近は日本人も含めて自炊率がかなり高くなっており、ゲストキッチンも混み合うことがある。もう少し大きくすればよかったなと思いますが、それは言っても仕方ないこと。今ある状態でベストを尽くすしかありません。そして、実際にかなり混雑していた昨年の8月の月間のレビュー評価は今までで最低でした。その前の年も8月が一番低かった。

なので、去年の秋から20人を越えたら宿泊組数を考慮し、Maxでも宿泊人数が27人に達しないように部屋やドミトリーのベットが空いていても売り止めにしています(イベント時は除く)。なのでシュラフドミトリーの販売を公には今年は辞めています。その結果、紅葉で混み合う10月については、一昨年よりも宿泊人数を制限した去年の方がレビュー評価は高かったのです。

しかし、単純に考えたら、これをすると昨年よりも売上は落ちてしまいます。

重要なのは、滞在の満足度。また来たいと思って頂けるかどうか


5月の乗鞍高原 牛留池

この大自然の中でゆったりして、宿のコンセプトである「自然にかえる」ことができたかどうかがお客様の満足度を左右する上で、一番重要だと思っています。それが達成していれば、自然と全体の稼働率が上がっていくと思うわけです。売上においてもあるお客様が、「また来たい」と思って頂けることの方が、定員を制限した分の減少分よりも大きな効果が期待できると考えています。海外ゲストにおいても全く同じです。彼らはまた来ることは稀かもしれません。しかし、彼らが残す口コミレビューが、他の旅行者を呼び、彼らが祖国に帰って友人らに紹介してくれるかもしれません。実際Raichoには、誰々の紹介で来た、という海外ゲストが結構いて驚きます。また海外からのリピーターもいます。このように満足度を上げていくと、稼働率が上がってくることになり、売上も単価の減少分を稼働率で補填する。そして、満足度の平均点が上がってくるという良い形を産み出すことができます。

2.継続的な価値追加、結果としての値上げ

都心部などではゲストハウスの値下げ合戦が白熱しておりますが、Raichoは実は個室の料金を2度値上げしています。ドミトリーはHPの直予約を始めた時から同料金、宿泊予約サイトはHP導線という観点もありますが全て値上げしています。これは、設備投資によって滞在価値が上がったという判断からです。値上げの一度目はお試し営業後、そして2度目は昨年の秋の改修工事によって、ファミリールームには個別のユニットバスルームが、そして共用トイレをリニューアルしました。もちろん何もせず、値上げをすることはありません。必ず客観的に見て、価格と価値を評価します。値上げをするのであれば、新しい価値が付加されていて当然です。

温泉付きということもありますが、1人1泊当たりの平均売上単価もドミトリーを含めても1泊5,000円を越えており、ゲストハウスという宿泊形態の中では高い方だと思います。そして、実は競合との差別化のための値段の差もあります。それでもまだ安いと言って頂ける方もいますし、レビューのコストパフォーマンスも高い数字を維持しているので妥当だと思って良いかなと。そもそもの滞在の単価を上げて、1の結果により宿泊人数が減ったとしても全体の売上は落ちないように、むしろ評価が高まって稼働率が上がって売上が伸びることを狙っています。

売上を伸ばす一番やりやすい方法は、既存の値上げ。値下げは誰でもできる最悪の戦術、と前職の営業時代に学びました。
値下げは最悪の最悪の手で、何も手を打たず(値下げした後の売上アップの戦略を立てないと)して値下げするとその先のビジネスはどんどん縮小していくと教わりました。営業時代、値下げ要求を如何に提案という場のチャンスにつなげるかということをずっと考えさせられ、値下げ要求が来たのに、結果的に値上げができた、という事例を何度か経験しています。

基本的にある価値なりサービスというのは、何もしなければ時間の経過とともに、右肩下がりに落ちていきますなので同じ価格を維持するためにも1年に一つは小さくても新しい価値を追加していくべきであって、それが目に見える大きな価値であれば、値上げができます。ここ、結構ポイントだと思っています。もちろん価値を上げた分、裏では生産性なりを向上しないと利益率を維持することはできません。
「経営者たるもの、1年に一つ新しいビジネスなりサービスを生み出せ」と前職の創業者から叩き込まれましたのでした。

3.閑散期という期間を短くしていく

Raichoの料金は2パターンしかありません。平日と土曜及び繁忙期です。と言っても差は1泊一人当たり200円〜300円程度。ドミトリーは通年同じ価格です。繁忙期などに、1人あたり何千円、もしくは倍くらい値段を変える宿泊施設もあるようですが、私はちょっとどうかなと思います。確かに需要は高くなるので価値は上がるとは思いますが、提供しているものは基本的には変わらないからです。仮に、誰もが理解できるようなサービスの違いがあれば納得いきます。提供しているサービスが変わらないにも関わらず需要で大きな差をつけるのであれば、おそらく結果的に評価も下がり、閑散期にさらに人が来なくなると考えています。乗鞍のような季節変動が激しく、閑散期が明確なところは、稼ぐ時に稼がなければ、という考えはわからないわけではないですが、できれば私は閑散期を短くするような営業努力をすべきであって、そういうことは露骨にしないようにしたいと思います。

具体的な閑散期を無くすため(閑散期ではなく通常にする)に何をしているか、またこれから何をするかは、別途ブログで紹介しますが、例えば、冬は閑散期と言われ続けていましたが、特に今年の2月は去年よりも宿泊数も売上も40%ほど売上が伸び、稼ぎ時に変えることができました。これからのGW明けから7月中旬まで、そして12月下旬から3月の冬季はまだまだ伸ばす余地があるかなと思います。
やることが沢山あるのです!!=まだまだ伸びる余地がある!!

さて、上高地シャトルバスの運行が4月17日から開始され、いよいよグリーンシーズンがはじまります。


5月末頃の上高地河童橋より

ここアルプスでは、GWは若干まだ早くて、ゴールデンウィーク明け頃からがとても良い季節となります。新緑に包まれた山々の中で、ゆったり過ごしませんか?

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