ファーストペンギンは一人ではない

「ファーストペンギン」

これはよくビジネスの話で出てくる話ですね。
前職の石橋さんが、社員に口癖のように言っていた。

「1匹目のペンギンになろう」と。

ペンギンが海に飛び込むのに並んでいる姿を映像等で見たことがあるだろう。海の中にはペンギンを襲う他の動物がいるかもしれない。海の中にはどんな世界が待っているかわからない。誰もが海に飛び込むのは怖い。
だから、誰かが飛び込んだ後に、飛び込みたいと思うのは普通の心理。安心を得たい。リスクを負いたくない。

でも、ファーストペンギンになって、海に飛び込んでみよう!!
と石橋さんは言っていた。

2008年までウェザーニューズの海外支社は現地採用でLocalの人に任せていた。

しかし、主力であった海運向けサービスに対して、海外顧客に競合が攻めてくる中で、海外での営業が上手くいっていなかった。僕は社内の中でも最新の業界知識とサービス知識と経験を入社4年目に持っていた。その前年から大手の海運会社に常駐して新しいサービス開発を行っていたからだ。

そして香港市場が特に厳しく、現地の人だけに任せているだけでは、現状を打破できない状況となっていた。そこで、元々海外で仕事をすることに憧れていて、当時の上司にいつかは行きたいということを常に言っていた僕に白羽の矢が当たった。こちらのブログも参照。

英語も全くしゃべれなかったし、それまでに海外も3回くらいしか行ったことなかったけれど、僕は心の底からワクワクしていた。まだ見ぬ知らない世界がそこにあって、大変だろうなということもあるだろうけど、なぜかやれるだろう!!という気持ちしかなかった。
そして僕は入社4年目にウェザーニューズの日本人の営業としては初の海外駐在となった。

「藤江はファーストペンギンになったな」と石橋さんに言われた。
その1年後、ウェザーニューズの創業者の石橋さんは他界した。

香港駐在は大変なことが沢山あった。駐在をはじめてすぐに、現地の香港人の営業も辞めて営業は僕一人になった。そして香港人で構成される現地の競合とのビジネスのバトルは血まみれになり、精神的にかなり追い詰められた。

しかし、そこから得られるものは沢山あった。ファーストペンギンの経験は、何物も変えられない、僕の血肉となり経験となり、今の自分を支えるものとなっている。今でも覚えている、僕が日本に戻って、仙台に赴任することになったことを伝えた時、香港に本社のあるイギリス系の会社のインド人の取締役から「きみが香港からいなくなると寂しいな、でも君を待っている人が世界にいると思うから、今後の活躍を祈っている」と(涙)。

その会社は最初僕が通いはじめた時は競合の値下げ提案に押され、競合に流れつつあった。

日本人の英語もほとんどしゃべれない26,7歳の若造が、キーマンである何千億という売上のあるイギリスの会社のインド人の取締役にアポイントを取ることを想像してほしい。何度アポイントを断れてもサービスがその会社にとって有益であると信じてめげずにコンタクトを取り、拙い英語で必死になってサービスを提案した。最終的に新たな契約に至り、その後競合がどんな値下げをしてきても、僕らがその会社の課題に対して提案したサービスで競合との違いを理解してくれ、少しだけ競合より高いウェザーニューズのサービスを活用し続けてくれた(今はどうなっているか知らないけれど)。
その取締役の名前はPrabhakker。彼のおかげである程度英語が喋れるようになった。

なお、この会社は成功した事例だが、競合に取られて失注した経験もある。というかその方が多く、その後のマーケットの影響もあるけれど、香港支社の全体の売上は僕が赴任した時よりも去る時の方が下がってしまった。理由はいくつかあるけれど、成功した会社はイギリス系の会社でキーマンがインド人だったけれど、香港や中国系の会社はやはりリレーションを作ることに苦戦した。現地人と現地人の間に入ることは難しかった。

会社がどこまでを期待していたかはわからない。けれど僕は、やれることはやったと思っているし、成功体験も失敗体験も沢山積んだ。

最近、仕事を本当の意味で楽しむことと冒険って凄く似ていると思う。
答えのない課題に、自ら答えを導き出していく過程は、一人で人里離れた山奥を冒険する感覚に似ている。

冒険にも答えはない。目的地を定め、そこにたどり着くために、地図やある情報と照らせ合わせながら、一歩一歩前に進めていく。食料を調達し、今日の目的地までの道を歩く。時に人に聞いたりしたり、世話になったりしながら。道を間違えたら一旦元に戻ったり、危険なところでコケて擦りむいたり。様々な事に遭遇し、そこで対処方法を学習し、計画変更しながらなんとか目的地に辿り着いたりする。そして自分の行動に自分で責任を取るしかない。これが正解という旅=冒険はない。その冒険の過程全てが楽しい。

冒険や仕事にも難易度のレベルはあると思う。

自分の持っている知識や経験などから、冒険できる範囲や、チャレンジできる範囲もだいたい定まってくる。それを超える冒険や仕事は無謀というもの。無謀な冒険や仕事は死をもたらす可能性だってある。なので、その難易度を見極める能力は必要だ。でもちょっとだけ背伸びをする方が楽しい。

ここ乗鞍高原でのゲストハウスの経営は冒険のよう。

自分が持っている10年間の企業での経験や、影ながら応援してくれたり、見守ってくれている人の存在を感じながら、見たことのない世界をどう作り出していくかを考えている。まだ見ぬ世界に期待と不安を抱きながら、失敗もし、小さな成功を重ねながら、成長を続ける。いろんな人と出会い、刺激をもらったり、仲間と喜びをわかちあったりもする。

その中にある僕を突き動かす感情は、単純にワクワクするということ。
誰かが上手くやっているとか、これが正しい道とか、常識とか、そんなの関係ない。
単純に心の奥にある本能というか、直感というか、そんなのに従っている感じ(僕は)。

もちろん、論理的に考えることも重要だと思う。
しかし、いくら考えたって正解は出てこない。ある程度考えたら、信じて進むしかない。答えは自分が作り出すものだから。

人の目なんて気にしない。考え続けていたり、安全な道だけ考えていたら、いつの間にか時代は変化しちゃって、誰かがすでにはじめたり、もうニーズがなかったりする。はじめてみて自分で答えを作り出せばいいんだと思う。

誰かにいろいろ言われても気にしなくていい。
違うなと思えばそこで修正すれば良い。
ちょっと飛び込むことに不安だなと思ったら、こう思えば良い。

実は飛び込むフィールドは沢山あって、いろんなところにファーストペンギンがいるということ。

起業している人とか、経営者とか会社員とかアルバイトとか関係ない。
それぞれにはそれぞれのフィールドがある。会社の中にだって、アルバイト先だって、新しいフィールドが沢山ある。

世界初とか日本初=ファーストということではない。ある地域の中とか、小さい組織の中、近しい交友関係だったり、あるコミュニティーの中のファーストであっても、そして自分の中に生まれた新しいチャレンジだって列記としたファーストペンギンだと思う。

幸いにして、僕はそんなファーストペンギンの存在を近くにいろいろ感じている。何よりうちのスタッフはファーストペンギンになることをみんな恐れていない。

なので、冒険している目の前のフィールドには自分一人だとしても、一人だと思うことはない。たまに水面から上がって、ちょっと離れた声をかけられる同志に、そっちはどうだい?と話すことができる。 合わせて一緒に同時に飛び込むか!と言える仲間もいる。

ある程度一つの冒険が終わったらそっちはどうだった?とお互いの感想を言い合いたい。それが、次はもっと凄いところに飛び込んでやろうと、次の活力にもなる。

必要なのは覚悟
もちろん全てが順風満帆にはいかない。苦しいこともある。失敗してもまたやり直せば良いとか、諦めないとか、ゴールにたどり着くまでやろうとか、誰かに笑われてもいい、とにかくやってみようという覚悟。

誰もいないフィールドは自由だ。
雪山のファーストトラックが最高に気持ち良いのとも感覚が似ている。もちろんリスクはある。死んでは意味がないので、無謀なリスクは知識と経験で避けるけれど、少しの失敗で何か起きれば、次の経験に変えていけば、次はもっと素晴らしい世界に飛び込みむ力となり、まだ見ぬとても美しい世界が見える。

僕は自分が今後もファーストペンギンでありたいし、ファーストペンギンになろうとしている人と沢山話しがしたいと思っている。
まだ見ぬ世界を想像するだけで楽しいでしょ。だから、飛び込むともっと楽しいんだよね。

少し怖かったら、ゲストハウス雷鳥においで(笑)
仲間がいるよ。押して欲しいと思っている人には、後ろからちょっと背中押しちゃうかもしれないけどね(笑)
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