初期投資 身の丈にあった背伸びをする

乗鞍高原はだいぶ涼しくなり紅葉間近。そんな私は夏の疲れが全然抜けない状態が続いています。1年目は1年目の気合で乗り越えられたのだと思いますね。2年目、繁忙期に1ヶ月以上のぶっ通し営業はさすがに疲労が蓄積。そんなことを同年代の友人に少し話したら「いろいろ突っ走ってやって初めてわかるんだよね」と言われ、そうだよなと。来年はもっとうまくやります。

夏の終わりの先日、北海道でゲストハウスを作りたいという方が、Raichoに視察に来ました。バックパッカーズジャパンなど、超一流どころのゲストハウスを巡っていて、なぜかRaichoにも(笑)。最近、たまにゲストハウスをやりたいという方が訪れます。今回来た方(S氏)の場合はすでに物件契約間近のようで、改装計画などの見積もりも出ていました。

質問されたのでここ乗鞍でゲストハウスをやる経緯(このブログの内容)を説明した上で、彼の計画も一通り計画を聞いた上で、一つだけアドバイスを。
※経緯をしりたい方はここから読むと良いかも
人生の転換点 前半 東北・仙台時代

「小さく産んで、大きく育てる」
=「初期投資及び借入れは最低限で」

最近不動産会社のゲストハウス事業への参入が相次ぎ、特にそういった企業が参入している都市部では、個人開業のゲストハウスが苦戦をしているところがあるという話を聞きます。S氏も最初、私と同じように東京、そしてS氏の故郷の札幌などでゲストハウスをはじめようとしたらしいですが、辞めて観光名所のある北海道のある市で開業をする予定とのこと。そこもすでに10件ほどのゲストハウスがあるらしい(驚)です。都市部はすでにピーク時以外は飽和状態でゲストハウスができ始めたばかりの頃の個人開業のゲストハウスも宿泊客数が減ってきているとか。そんな状況の中で、個人の方がどれだけ自己資金を持っているかは知りませんが、どこかの会社の一事業でやっているところに比べたら、資金力の差が歴然としているわけです。それに負けまいと、始めから設備の整った、おしゃれなゲストハウスをやりたいと思いたくなる気持ちはわりますが、それで個人で3000万、4000万の初期投資は少し背伸びしすぎな気がします。なーんて偉そうなこと言って、過去のブログの通り、私も一度はその道も考えましたが(笑)
もちろん、それでも事業計画がしっかり立てられていて、最悪のシナリオを想定した上で回収見込みが立っていれば、あとはその人の勇気ですね。

バブル世代の方は、「若いうちは借金を背負って、必死になってやるべきだ」なんて言う方がいますが(日光の時も言われましたが)、どの時代のこと言っているんですか?と突っ込みたくなります。右肩上がりの時代と今とは全然状況が違います。インバウンドは伸びてますが、国内旅行は減少。インバウンドと言っても、場所・シーズンによって状況は全然違います。資金力のある企業が事業に参入している時点で、特に都市部ですでにレッドオーシャン(価格競争に入っている)な状況で、今から個人で開業するゲストハウスは、自ら販路を開拓できる力が求められるでしょう。

ということで何が言いたいかというと、借入に対するリスクを見誤ると危険だということです。3年前にゲストハウスを開業するということであれば、まだよかったかもしれませんが、今は厳しい時に入ってしまいました。ちなみにこれはゲストハウスに限らず、この人口減少の消費活動が抑えれらる傾向にある現代においては、例えば飲食店や美容室などであっても個人がはじめるのであれば、やはり借入は少ないに越したことはないと思います。

「小さく産んで大きく育てる」

というのが、現代における起業の秘訣の一つかと。

私の場合も改装や設備、備品などでやりたいことは山ほどありました。
しかし、それを全部やるとそれこそ、3000万、4000万の世界です。なので、最低限ここからやるべきだというところから徐々に徐々に資金と相談しながら改装しています。居抜き・事業承継がベースですよね。もちろんこれはデメリットもあります。利益が出たとしても設備投資に消えていく日々、ゲストからの設備の指摘、自分も直したいと思っても直せないという歯がゆさとの格闘。逆にメリットは、利益にあった投資ができること。そして営業して実際の声を聞きながら修繕なり、改修ができるというのは、ニーズに合った改修ができるということですね。一気にやってしまうと投資に対する効果が微妙な場合もありますし、実はここはゲストのニーズと若干違かった、とか、オペレーション的にこれだと効率が悪かったというようなことが起きる場合があります。そして先ほど言ったような無理ない借入のため、焦ることはないですね。

ここからは、未来に起業したい方向けに自分が何かしたいと思っているので、本来はあまり公にするところか迷う内容でもありますが、何かの役に立てればと。

私は初期投資(物件取得を含む事業継承と改装・修繕及び設備投資)で約1500万使っています。投資の詳細内訳は控えますが、そのうち銀行借入は800万でした。700万は一応自己資金でした(貯蓄を切り崩せないところもあり、親に担保で借入していますが)。800万の銀行借入は10年返済で組んでます。ただし私は3~5年で返済完了する予定で借りてます。10年としているのは、何か急な出費なりで資金繰りが悪化したとしても返済の負担にならないようにするためです。資金が出来たら途中でまとめて返し、遅くとも5年以内に完済したい。これも王道(経済状況や事業形態で変わる)ですね。月々の返済額が大きくなればなるほど、資金繰りの悪化のリスクが大きくなるので、銀行借入は契約自体は長めにして月々の返済額を下げた方がいいですね。資金繰り悪化のリスクとは、想定してなかった設備の故障、修繕、外的要因による収入減です。すでに私もそのリスクに直面して資金繰りは大丈夫ですが、想定外の修繕・設備投資に苦戦しています。

昨年全館暖房(セントラルヒーティングの温風ヒーター)を凍結させてしまい故障、2月から一切暖房が使えなくなり、個別のファンヒーターを急遽購入して凌ぎました。このセントラルヒーティングの暖房を今年直しますが、そろそろ限界。そして元オーナーさんから引き継いでいましたが、雨漏りがあったため初期投資で修繕しました。しかし最近、他の場所からの雨漏りの発見。しかも複数箇所。こちらは近々大規模に屋根の修繕をしなければなりません。昨冬は落雪によってアンテナと煙突が吹っ飛びました。その他、水回り設備等いろいろボロボロのところも多く。。。修繕費を稼ぐために営業しているような気もしてなりません。これが、古い営業物件のリスクでもあります。このように特に古い物件の場合、当初想定していないことや、後からここを直したいと思うところがたくさん出てきます。優先順位を付け、利益の状態を見ながら、我慢しながらやっていくしかありません。

さて、話を戻して、銀行借入800万という額をどう思うかは人それぞれですが、先ほど焦ることはないと言いましたが、「早く借金を返したい」と日々思います。一つは、縛り付けられている感。もともと私は何かに縛られるのが嫌いで、常に身軽でいたいと思う方なので、借入している時点で精神的に窮屈を感じます。もう一つは事業が上手くいっているかどうか。要するに借金を早く返せる=事業が上手くいっているということですよね。そもそも初期投資は1500万なわけで、事業としてみた場合には、全体の初期投資を利益でいつ回収できるのかに注目しなければなりません。

私は10年のリーマン生活の中で貯めた自己資金700万があったわけです。それを全て使って、かつ銀行借入もしたこのチャレンジの何に価値があるかはいろいろありますが、「あくまでも一つの指標として」ですが、この先の10年で貯蓄を1400万にするのが私の一つの目標です(金額には注目しないで下さい)。要するに、10年かけて新たに700万の貯蓄が出来て、かつ投資した800万の借入の返済が完了し、投入した自己資金700万分も回収して自分の手元に戻ってきていることを意味します。ざっくりですが、今後10年、毎年150万以上の純利益が出て、かつ最低限自分が月6.5万くらいの貯蓄をコツコツできるくらいの収入がないといけないわけです。先ほども話しましたが建物及び様々な設備がかなり古いので、途中で設備投資にかなり費用がかかることも想定されます。そして、前回のブログで言いましたが、私はあるリスクを背負って事業承継しており、その分の積立も別で必要となります。
あくまでも一つの目標であり、起業には様々な意味合いがあるので、別にお金が貯まらなくたって個人の幸せは左右されないと思います。しかし、経営者になったからには、覚悟や目標があった方が良いと思っています。

この初期投資1500万という金額でもこれだけ神経を使っています(自分だけかもしれませんが)。それが個人で3000万、4000万初期投資に使い、2000万、3000万借入していたらどうでしょうか?
10年後も健康で仕事を続けられている保証もないですし、そもそも人生の方向性だって変わる可能性もあります。確実に10年利益をあげられる保証もありません。何が起こるかわからないですよね。もちろん起業には勇気も必要ですがリスクも伴います。そのリスクをどう捉えるかですか、私の場合の借入800万であれば、何が起ろうが、その後返していける額だと思っています。なので無理なく自分のペースも維持しながら営業していけばいいかなと思います(それでも今はまだ2年目なので無理もしています)。借入額が大きいと、なかなかそういうマインドにはなれず、もちろん利益率なり売り上げが想定以上にあがれば別ですが、かなり忙しい日々を送らざるを得ないと思います。そうなると自分の夢を実現しているにも関わらず、そのうちその仕事が嫌になってきてしまう可能性もあるのではないでしょうか。忙しいというのは、心を亡くすと書きます。

前の会社でこのような言葉を教えてもらいました。
 「身の丈にあった背伸び」
何かをチャレンジして得ようとするためには、背伸びは必要ですが、背伸びしすぎるとバランスを崩して倒れますよね。身の丈は自分の今の資源(今の能力や資産など)であり、背伸びは借入やこれから経験を積む新たなチャレンジなのかなと思います。それぞれの背伸びの幅(身の丈に合う)を見極めることがとても重要なのだと思います。そのためにも「小さく産んで大きく育てる」が個人での起業でのコツなのかなと思っています。これはどんなビジネスにおいても言えることなのかもしれません。

今日お話した内容は、あくまでも資金のない個人が起業する場合の話をしました。潤沢な資金を持たれている個人や、特に大企業の一事業でやる場合は話は少々話は異なります。それとゲストハウスという観点で書きましたが、これはどんな業態でも資金のない個人の起業という観点では共通するところが多いと思います。

 さて、冒頭と重なりますが、乗鞍もだいぶ寒くなってきて、木々も少しずつ色づいてきました。

こちらは9月末の涸沢の紅葉

 実はゲストハウス事業と並行して、新たな取組を考えています。そろそろそちらも本格的に動こうかなと思っていますので、乞うご期待。ちなみにゲストハウス雷鳥宿泊者は、業務の合間になりますが、起業相談・ゲストハウス開業相談にのりますので、自然の中でちょっとお話してみませんか?

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