今回の大雪山の山行でずっと頭にこの言葉があった。
初日、大雪山系の赤岳に登ってからずーっと先の方に王冠形のトムラウシ山が見えた。遠いな、遠いぞ〜〜って思っていた。
テント含む15kgの荷物背負って、トムラウシまで行って、戻ってきて(大雪山往復ビンタ)北海道最高峰の旭岳踏んでからの黒岳行って層雲峡に戻るのを2泊3日行けるのか??
途中に見える目的地の山々や小屋、キャンプ地が遠くて遠くて、本当に辿り着けるのかって何度も思った。それでも通過地点のデットラインを定めながら、なんとか全てやり切った。
初日は写真撮りまくってて、予想よりも遅れたけどデットラインギリギリで通過点を過ぎ、後半は体力に余裕があったのでかなりのスピードで歩けた。
2日目、歩行時間が10時間を越えるとかなりシンドかった。3日目は1日目と2日目に比べればラクチンだったんだけど、それでも後半これまでの疲労を感じていた。
1日目 銀泉台(赤岳登山口)→赤岳→白雲避難小屋→忠別岳→ヒサゴ避難小屋
9時間43分 (うち休憩44分) 23.3km 上り1430m 下り1228m
2日目 ヒサゴ避難小屋→トムラウシ山→忠別岳→白雲避難小屋
11時間18分(うち休憩56分) 24.2km 上り1476m 下り1172m
3日目 白雲避難小屋→北海岳→旭岳→中岳→黒岳→黒岳リフト
7時間 16.9km 上り998m 下り1462m
山やってない人からすれば、このデータを見せられてもよくわからないと思いますが、15kg以上の荷物を背負いながらも人間結構歩けるんです。トレランやっている人とかTJARとか鬼体力の人はこれくらい朝飯前ですけどね(笑)
これをダッシュでは行けないです。
トレランやってる人であれば、それなりの歩行スピードになりますが、それでもダッシュはできないわけです。
もし、ダッシュしたら、それこそ最初の赤岳の登山道の100mくらい付近で身体はもう身動きできない状態になります。それが歩いてならとんでもない距離を歩ける。
別に山に例えなくても平地でも同じっすよね。
自分はもっと走れる!!って思っても、多分100mくらいが限界っすよね笑
そして、その後歩いても、その時のダッシュの疲れが身体にかなり残る。
普段の仕事とかに置き換えても同じことが言えますよね。
自分に言い聞かせてます。
コロナ禍は結構走っていた。インターバルのように何回も。息切れしている自分にも何回も気づいていた。
さらにこれからも走りたい、早く辿り着きたいと思うことが沢山あるんですが、2021年度の後半は少し足場を固めないと、疲れ果ててゴールにたどり着けなくなるのではないかと、大雪山を歩きながらずっと考えてました。
歩いて、写真撮るくらいの余裕が必要。その中で身体に余裕があれば歩行スピードを早めれば良い。その方が遠い遠いゴールに辿り着けるんだよなと。
改めて、10年先の目標ってなんだろうと。
前に何人かに聞く機会があったんですが、以外とみんな10年先の目標持ってないんですよね。恥ずかしくて言えないだけなのかもしれませんが。
僕は10年単位のゴール設定って大事だと思います。
短期の目標設定を持っている人は多いですが、もちろんそれも大事なんですけど、僕は長期での目標設定はそれ以上に大事だと思っています。
道のりはとても長いですよ。
でも、通過点やデットラインなども定めて、計画通りに行かなければ、計画を練り直す。途中で余裕があれば、少し歩行スピードを早めてみる。
歩いていけば、かなり遠くのゴールまで辿り着けるもんです。
その遠いゴールを見据えることで、達成した時の喜びを感じ、それが人生なんだと思うのです。
コロナ禍で僕の10年計画は狂いもがき続けた。出口は感染が収まることなのかもしれないけれど、僕はもがく中でそれとは異なる自分なりの出口を見つけました。なのでこれは必要な過程だったと思っています。でもその出口からでも当初の10年計画のゴールにも辿り着けるし、10年、そして20年、いや人生を通しての目標は多少形が変わってもきました。
歩き続けていたら、10年先の山の形が遠くから見えていた形とは少し違くて、さらにその先にもっと魅力的な頂が見えてきたってやつです。
ほんと登山って良いですよ。
ただ、その長い長い道を歩き続ける「覚悟」が必要なんです。
これが難しいんですよね。
もちろんその長い道を歩き切るためのこれまでの経験も必要です。
今は、SNSで過程ではなく結果だけ見てしまうことが多いので、色々すっ飛ばしてさっさとゴールに辿りつきたい気持ちもわかります。
最近、一歩一歩そのロングトレイルを歩いている人や企業に出会えていてですね。その方々は周りのこととかほんと気にしてなくて、自分たちの遠くにあるゴールを目指して歩み続けているんです。
目立つことが本質的な価値ではない。本質的な価値は分かりづらいからまず「ウケ」ないんです。「ウケる」「売れる」「稼げる」から入ると絶対に飽きられるし、すぐ競争に巻き込まれます。飽きられたらまた別のものを探し続けます?
とても大変でその価値がわかりづらく、地味で長い道のりで覚悟が必要なんですけど、僕は歩いてしかいけない遠くにあるゴールを目指して、テントを担いで一歩一歩、大地を感じながら歩きたいなと改めて今回の大雪山系縦走で思ったのでした。
周りに全然知っている人がいないんですけど、向井太一さんの「道」が歩きながらずっと頭に流れていたので、シェアしておきます。