冬の寒冷地における宿の経営、乗鞍の可能性②

こちらは圧巻の氷瀑を見にいく夜の冒険、Raichoナイトスノーシューツアーの写真です。
寒さも一旦一段落した乗鞍高原ですが、2月は平年より低い傾向が続くようですね。冬は寒いのが当たり前、まだまだ冬は続きます!!冬旅に出て冬を大満喫しましょう!!

さて、今日は前回のブログの続きです。あくまでも私の個人的な見方をした冬の乗鞍の可能性について述べたいと思います。

また以下の話をする前に、前回のブログでも述べましたが、私の基本スタンスは、人を動かして何かをやる事業はもちろん人件費を考慮して1円でも利益を出すべきと思っています。トントンか、赤字でも少しでも良い形にもっていければいいな、というような数値的な目標のない取組みは「趣味」の領域かなと思います。地方を盛り上げていくのであれば、如何に多くの「事業」を生み出せるかがポイントですよね。もちろん、利益が全てではないというのは言うまでもありませんが。

もう一つ、その前段にビジネスの話を。これも前の職場の営業時代に耳にタコができるほど教わったことですが、「サプライサイド」「ディマンドサイド」という言葉があります。

よく商品開発、サービス提供側の現場で使われる言葉です。商品なりサービスが、どちらのサイドに立って開発、提供されているかというポイントです。多面的に捉えれば、両方が混在しているのはもちろんですが、いつの間にかサプライサイドに偏りすぎることが多いのです。できるだけディマンドサイドに立てるかが、商品開発、サービス提供における重要なポイントになります。

例えば、これが良いか悪いかは別として、1泊2食で提供するペンションや旅館でいう、「18:00から夕食」、「8:00に朝食」を提供するというのは基本的にはサプライサイドに立っていることになります。登山に出発するゲストにお昼のためのおにぎりや弁当を提供するサービスは基本的にディマンドサイドになりますね。

「風呂敷を広げる」という言葉もあります。
まずは、ディマンドサイドに立って徹底的に考える、今ある実力や資源を一旦置いておいて、できることを徹底的に考えるということですね。ただ、全てディマンドサイドに立って開発することは、費用対効果も得られず、商品開発側やサービス提供側が破綻します。なのでディマンドサイドとサプライサイドのバランスが重要になってきます。それが風呂敷を広げた後、理想や夢を維持しながら現実的な範囲に風呂敷を閉じていくという作業が必要になります。しかし、繰り返しになりますが、何かを新たに産み出すためには、まずは徹底的にディマンドサイドに立って、風呂敷を広げるということが重要になります。

ここで乗鞍の「冬の資源」について一旦箇条書きで書いてみます(もっとあれば意見下さい)
標高が高くて雪質が良いスキー場
・根雪期間が長い、それなりに積雪が豊富、雪遊びができる
バックカントリースキー、スノーボードができる、しかも3000m級で雪崩リスクは相対的に他より低い
・位ヶ原山荘が営業している
高原内で自然地形を利用したスノーシューができる。上高地に行くための滞在先にもなる
・中部山岳国立公園内
・温泉がある(あまり知られてないが4種の源泉)
・地産の野菜、蕎麦などの食べ物、伝統的な料理がある
・アルプスの暮らし(単なるリゾート地・観光地ではなく、暮らしがある村)
・星空が綺麗
・空気が美味しい
・気温がとにかく低い
・乗鞍岳の山岳信仰
・様々なバックグランドを持った人がいる
・松本と高山の間
・公共交通機関で来れる

こんなに沢山あるです!!!!!

なのに、なぜあまり冬にあまり人が来ないのか。
ここから重要になるのが、どのようなターゲットを相手にするかですよね。そして、この資源に対して、どういう人がターゲットになるかなんですよね。

これも耳にタコができるほど叩き込まれたことですが、「ビジネスはマーケットポテンシャルの高いところから攻めろ」と何度も言われました。プライオリティーも優先順位もまずはそこで利益を生み出すことだと。自分、もしくは自分たちのやりたいことはもちろんありながら、ビジネスとして事業を軌道に乗せるためには、上記視点がとても重要だということです。これはディマンドサイドの視点と同じことを言っています。そして、仮に自分がやりたいことがマーケットポテンシャルの高いところと少しズレているのであれば、少し我慢して、ポテンシャルの高いところを攻めながら、少しずつ小さく育てていくしかない。

例えば、、、
今冬季にスキー、スノーボードに行く予定があるか?というアンケートに対して、「はい」と答えたのは全体(男女年齢すべて)で23%。
もちろんこれは年代でも違いますが、そもそもスキー・スノーボード相手にすると日本の全人口の23%に絞られるわけです。さらに言ってしまえば、バックカントリーをする人口は、推測ですが、0.1%もないでしょうね。

さらに、一番旅行に出ると思われる20代・30代女性の旅行の目的上位10位には、スキー・スノーボードは入らないわけです。
上から順に、温泉旅行・自然観光・グルメ・テーマパーク・世界遺産巡り・歴史文化観光・海浜リゾート・ショッピング・都市観光・おしゃべり旅行、というような順序です。この中にスキーは残念ながら出てきません。
それでですよ、前回のブログで述べたように、周りにビックスキーリゾートを抱えているわけですから、仮にスキー・スノーボードのみにターゲティングを合わせるのであれば、やはり戦っていくのは難しいのは明確です。

こういうターゲティングもあります。雪質を選ぶ人、バックカントリーを楽しみたい人に来てもらう乗鞍!!!!!
もちろん、それはそれで良いかもしれませんが、先ほど0.1%以下と言ったように、スーパーニッチなんですよね。でももちろんそこにターゲットを合わせるのも一つの戦略です。ちなみに、市場はニッチになればなるほど、専門性と独創性と特別感が必要になってくるのは言うまでもありません。

23%のスキー・スノーボードに来てもられるように、スキー場を良くしよう!!!これももちろん戦略の一つです。ただ、相当な投資が必要なことは言うまでもありません。お金をかけずにやれることももちろんあります。それを洗い出してやるというのはやるべきでしょう。またインバウンドという観点での攻め方ももちろんあります。私の中では冬という観点でのスキー・スノボ目当てのインバウンドは3番目4番目くらいの優先順位ですね。

では、日本というマーケットでマーケットポテンシャルが高いターゲットと言ったら、やっぱり「温泉旅行・自然観光・グルメ」を求めている層なわけです。ちなみに、これは20代・30代女子に問わず、ほぼ全ての年代・男女で同じ結果です。なのでやはりここに1番の優先順位があると個人的に思っています。

そうなった時に、先ほどの資源に立ち戻ると、乗鞍はどうでしょうか?
ありますね。全て。なので私はとても可能性を感じているわけです。未来は明るい!!!!

「でもあまり人が来てないじゃないか!!」とツッコミが入りそうですね(笑)
はい。そうなんです。それは、それらが商品になってないからなんですね。というよりか商品が30年前からあまり変わってないと言いましょうか。一つ一つの素材と要素はあってとっても素晴らしいのですが、商品になっていないか、今の時代のニーズに合う商品化がされていないということです。時代は刻一刻と凄まじい勢いで変化しています。そこに合わせて古き良いものは大切にしつつ、変化を加えていかなければ、残念ながら今の時代の人たちから選択されるようにはならないでしょう。

また少し長くなりましたので、商品化については次回のブログで書くことにします。

また、単純に今のマーケットポテンシャルの高い、ディマンドサイドのニーズだけでなく、そのニーズの一歩先を創り出していくというのもポイントになります。それは未来のニーズに対して商品を作り上げていくというもう一つ次元を上げた戦略です。これができると一層強い戦略になります。その話も次回私なりの考えを述べたいと思います。

なんかわかったような、偉そうなこと書きましたが、これは全て前職の営業時代に教わったことをベースに述べた単なる一個人の考えですので模範解答のようなものではないです。一つの参考としてお読み頂ければ幸いです。

ちょっと次回の話のフライングですが、
商品化の例として、冒頭の写真の「圧巻の氷瀑を見にいく夜の冒険、Raichoナイトスノーシューツアー」です。

「夜の冒険」というコンセプトの元に考え出した商品となります。
実はいろいろ深く考えてまして、単純に夜の氷瀑のライトアップを見にいくというものではありません。先ほどのニーズの自然観光というのがあったと思いますが、ナイトツアーは自然観光の一部ではあります。仮にそれだけで商品化をしたならば、「夜の冒険」という言葉は入らないでしょう。なぜ自然観光を求めているか?という視点に立ち、そこを突き詰めて考えることで、一歩先のニーズ、未来のニーズに答えることになります。

人は現代社会の様々な問題や雑踏に揉まれ、静寂だったり、人のいない大自然に身を置くことを潜在的に求めています。ツアー中には、我々のツアー以外に人に会うことはまずありません。そこには、大自然、満天の星空、月明かりに照らされた森、シンシン、ふわふわと舞い落ちる雪しかありません。夜の暗い環境というのは、そこにいるだけで、人々の心の奥にある冒険心を呼び覚まします。そして極め付けはライトアップされた幻想的な氷瀑の善五郎の滝です。自然の偉大さや、不思議なところ、一様でない姿を見ることで、自分の存在や抱えている悩みなどが少し小さく感じます。

さらに帰りはアクティビティー的な要素を混ぜ、大人が子供のように戻ってはしゃげる体験を用意しています。最後の動画では30代前後の方々が多いですが、50代の方々も同様にはしゃいでいます。大人は子供の時のように無邪気な遊び心を持っていたいというのも潜在的なニーズとしてあります。それをこのツアーでもう一度思い出してもらいたい、そしてそういう無邪気な遊び心は大人になったからと言って別に隠してしまう必要はないというのを体験してもらいたいと思っています。

すでにフライング以上に長くなってきたので、この辺にしたいと思いますが、これからの時代、「冒険する」ということがとても大事な時代ではないかと私は思っています。その冒険心を呼び覚ますという体験を実現しようと思っています。またこの部分は機会があれば書きたいと思います。

ツアービデオはこちら。

こちらの記事も参照下さい。
圧巻の氷瀑を見にいく夜の冒険、Raichoナイトスノーシューツアー
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