多拠点生活という選択肢

乗鞍に移住して3年が過ぎ、ここでの生活にも慣れ、地域にも少しずつ溶け込めているかなという感じです。
たまに移住の話とかになるんだけど、よくこの秘境に一人で乗り込んできたなと言われます。変態扱い(笑)

以前のブログでも書きましたが、自分は学生の頃にこの地域に惚れ込んでいました。移住を決める上で大事なのは、旅行で訪れているという経験だけではなくて、「暮らし」を少しでも体験しているかどうかだと思います。

自分はリゾートバイトで夏の3週間くらいこのエリアに滞在していたのですが、暮らしを体験していたんですよね。宿のお子さんたちと毎日遊んで、川に飛び込んだり。宿の家族とちょっと平湯や高山まで出かけたり。その時はじめて熊も見かけました。休みをもらって女将さんに握ってもらったおにぎりを持って焼岳に日帰り登山したり、上高地に行ったり。お家の延長上だったあの宿は、僕にとってはバイトというより山の暮らしのホームステイでした。

なので、僕の中ではどういう暮らしが宿をやりながらこの秘境の地で待っているか、当時から想像できたんですよね。
12,13年経過した後の移住となりましたが。

多くの田舎移住希望者って、何を見て選択するのでしょうか。
自治体とかの移住促進サイトとか、どういう支援があるのかとか見て選ぶんですかね?
僕は一切見てないです。松本市がどういう移住支援があるのかも一切気にしませんでした。

恐らくそういう情報サイトを見て移住を決める人たちはまずこの乗鞍という土地は選ばないでしょうね(笑)

また、果たして、そういう情報があったり、支援があったりすれば、田舎移住は進み、上手くいくのか、というと、どうでしょうかね。
田舎移住と言っても安曇野のようなある程度の街を形成しているところであれば上手くいくと思いますが、乗鞍や奈川みたいなほんとのど田舎の超秘境は難しいのではないかと思うのです。地方移住とこのど田舎超秘境への移住を一緒にはできないと思います。
なぜ難しいか、それは暮らしを想像するのが難しいからです。街が形成されている移住地であれば、実は移住といっても、自然環境がよくなり、休日の過ごし方は変わりますが、根本的な日々の生活方法はそんなに変わらないですよね。しかし秘境は良い意味も含めて生活が結構ガラっと変わるわけです。

・「あ、あれがない、買いに行こう」ができない
・仕事をどうするか
・大きい病院に行くまでに1時間以上
・中学校まではあるけど、高校は自宅から通うのは難しい
・子供の習い事の選択肢が少ない
・広い敷地をどう除雪しよう
・冬場の凍結対策って何?
・冬の車移動はそもそも危険

とか、上げたらキリがない。

逆にこんなのあるという魅力は、さらに挙げたらキリがないくらい出でてきます。

なので、仮に乗鞍や奈川が移住者をもっともっと呼び込みたいのであれば、一本釣りが必要だと思います。
縁あって地域を好きになった人が何度も訪れ、何度も来ているうちに、その魅力どっぷりはまってしまい、人生の喜びを見出し、地域にも知り合いが増えていて、気づいたら移住していた、のような感じが理想。この山の暮らしを移住前から深く理解していることが重要かと思います。

ただ、自分は果たして移住(定住)というのが全てなのかな?と思ったりします。人口減少がどんどん進んでいく中、それなりの国土や魅力的な地域が数ある中で、その地域の人口を維持するのって大変ですよね。もちろん増えることは嬉しいのですが。

僕自身もFacebookの自己紹介で書いているように多拠点生活をしたいと思っています。
間違いなく乗鞍という場所は僕のホームプレイスとして、これからも自分にかえる場所として、居場所を確保したいなと思っているのですが、じゃあ永遠にずっと通年ここに住み続けるのか?と言えば僕は他にも住みたい場所があります。ある期間は街にも住みたいとも思っています。

これだけ仕事も自由な選択ができるようになり、移動もますますしやすい環境でできる中、一つの拠点に住むという世界から、いくつもの場所に住むという選択(世界)がでてきているんですよね。すでに多拠点生活をしている人も何人もいます。

人って、移動している時間、結構好きじゃないですか(満員電車や渋滞は別)?
自分は移動している時、思考が結構フル回転するんですよね。だから、たまにそんなに用がなくても、松本まで車で行きたくなります。片道1時間、運転しながらずっと物事を考えられる時間って貴重なんですよね。それと、学生時代の新潟4年間(寮1年、アパート暮らし3年)、社会人になってからは営業職で1年半幕張、商船三井常駐時代の半年横浜、1年浦安、2年半香港(3ヶ月シンガポール含む)、千葉みなと1年3ヶ月、仙台3年、横浜半年みたいな引越し生活を経験する中で、その土地その土地で新しい刺激を受け、成長を感じ、次にチャレンジしたいことが浮かんできました。

そうなるとすでに乗鞍で3年も経過して定住していることが自分の人生の中では珍しくなってきてます。でも乗鞍は今まで住んだ場所の中で一番好きで、これからもそれは変わらないと思うので、ここを一つの拠点にしながら、多拠点生活という新たなライフスタイルを築いていきたいと思っているんです。

また人は拠点を決めてしまうと、物が増えていき、見えない柵が出てくる。
何十年と家に住みだすと、使わないものであふれてますよね。物が増えるとどんどん自分をある枠の中に納めていく感覚ってないですか?自分の世界を確立しちゃって、よくわからない安心感を得ているような感覚。僕は自分という生き物は、歳をとっても可能性無限大でいたいし、成長するために新たな刺激がほしい。チャンスがあれば新しい世界に飛び込みたい。そのために身軽でいたくて、持ち物は最低限で良くて、自分の身体に沢山のものを取り入れていきたい、そしていつでもどこでも自由に飛び立ちたい。誰からも制限や制約を受けたくないというように思っています。

なので電化製品とか家具は特にいらない物。
そうなるとですね、極論、家も共用で良いって考え方になるんですよ。家も持ち物なんですよね。そして自分をなんか縛り付けるような感覚になります(僕だけかもしれませんが)。いろいろ古くなるし、メンテナンスも大変ですよね。だから自分はマイホームローンはちょっと考えられないですね。マイホームローンという形態ではなく、ビジネス的な感覚で借金して事業の一つとして賃貸をするならまだいいかな。だから今のゲストハウスもそんな感覚でもあります。空き家だらけのボロ屋が日本全国で増えまくってますけど、家が負の遺産になることが多いってことですよね。住む家は賃貸だけど、自分の持っている家は民泊や貸しているって人もこれから僕は増えると思います。その方がお家も長持ちするのではないでしょうか。

これは自分がまだ30代だからというのもあるかもしれません。60代になったら家が欲しいと思っているかもしれません。それはわからない。土地はあっても、家はキャンピングカーだったりして(笑)その頃はもっとスムースに移動できる乗り物ができているかもしれませんね。ちなみに僕は子供がいないですが、子供ができたとしても考え方は変わらないと思います。そもそも現在の学校という場が教育のベースではないと思っていますし。

そして、多拠点生活は、富裕層の特権ではなく、誰もが多拠点生活できるようにしたい。
昔から富裕層は別荘を持つ生活をしていましたが、そのバブルの頃とは少し感覚の違う別荘を持つ人が増えてますよね。単純に夏の休暇やGWに行く場所ではなく、場所に捉われない仕事をしながら、暮らしもデュアルで楽しんでしまう感じですね。
僕はそれを富裕層ではなく、シェアリングという考え方で誰もが多拠点生活できるような場を作ってみたいと思っています。

どうでしょうか?
多拠点生活なんて、できるわけないだろ、と普通の思考なら考えてしまうかもしれませんが、いろんな柵を解放させると、心の奥にはそんな生活できたらいいなと思いません?だから僕はやりたいと思うのです。その心の奥の素直な声に耳を傾け、実際にそれに向けて一歩でも歩みはじめるとワクワクが止まらない人生になるんですよね。

僕も実際にできるかどうかはわからないし、まだ道のりは遠いなと思っていますが、それでも一歩ずつ歩んでいるのですでにワクワクしています。まずは雷鳥が一つの多拠点生活ができるような場にしたいと思っています。今回、改装に踏み切ったのもそれが理由の一つ。

自然環境は本当に憧れるけど、移住となるとハードルの高い乗鞍ですが、多拠点の一つとして考えると、最高な場所になるんですよね。
1年の1ヶ月くらいとか、1ヶ月のうち1週間は不便だけれど、人が本当に求めている環境にじっくり身を置いて過ごしてみたい。そしてその魅力にハマって、もうここを拠点にしたいというのであれば、移住しちゃえば良いんだと思います。交流人口を増やしながら、移住者も増やせるような道を作っていきたいと思います。

冬の乗鞍はさらに秘境感たっぷりなのですが、だからこそ観れる自然の美しい風景があります。
冬は静寂と神秘と冒険。そんな冬の魅力を少しでも味わってもらいたいので、初心者でも参加できる各種ツアーを組んでますので、是非ご参加ください。

ゲストハウス雷鳥のスノーシューツアー

上高地スノーシューツアーの動画はこちら

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