今回のニュージーランドの旅も残すところ後3日となった。
知っている人も多いと思うが、僕はNZに旅立つ4日前までネパールのアンナプルナに行く予定だった(笑)
4日前にパスポートの有効期限が4ヶ月しかないことに気づき、いろいろ問い合わせたがネパール入国できないことがわかったので、急遽NZに行き先を変更した。NZはもともと足を骨折しなければ昨年の秋に2度目として行く予定だったから、NZが僕を呼んだんだろうと思い、ネパール行きはまた今度にしようとすぐに計画を変更した。
「旅」と言ったが、僕の場合は休暇として旅をしている。その休暇は自分への投資でもある。もちろんゆっくり過ごすというのもあるが、普段宿の運営の中や日常の中では、なかなか考えられないクリエイティブなことや、数年先のビジョンをもう一度考える期間としている。このブログは一つのアウトプットだ。
そんな計画だったので、元々行きたかったAbel Tasman TrakとTongariro Alpine crossingのみ行こうと決め、それ以外は何も決めていなかった。と言っても今回の旅は上記二つも含めて全てNZに着いてから宿や山小屋、バスの予約をはじめた。それもほとんど前日か当日決めるような感じで進めていた。
Abel Tasman TrakとTongariroについてはまた別でブログを書きたいと思う。
旅の途中で他にもTrekkingしたいところが出てきたが、実はAbel Tasman Trak中に少し脚に痛みを感じたので、これ以上、17kgのバックパックを背負って行くのは無理だなと思い、Nelsonという街で少しゆっくりすることにした。ずっとできてなかったこのサイトのHttps化をした後に、さあ次どうするかなと思った時に、四角さんのNZのガイドブックをパラパラめくっていたら、その宿を発見した。
そのガイドブックの中で唯一紹介されていたBackpakersだった。しかもNZのBBHというBackpackersを紹介するサイトで、2002年から連続で99%の満足度を獲得しており、2018年のBooking.comのレビューでも9.9という凄まじい評価を得ている宿だった(ちなみに雷鳥は9.3)。まさにNZ最高評価のBackpakersだった。NZは観光業のレベルが非常に高いので、世界的に見て最高評価と言って良いと思う。
調べてみると今滞在しているNelsonに近いエリアだった。これはまた何かの導きだなと思い、早速宿を予約することにした。
しかし、実際に予約しようとして、行き方を調べたはじめたら、まあこれがスーパー僻地。まずフェリーが出る場所までは1日1本のバス。そしてそこからWater Taxiを使わなければ行けない。バスはネットで予約し、Water Taxiは電話してなんとか明日の予約ができた。宿からどうやって来るの?とすぐにメールが来たので、自分の経路を説明すると、そのWater Taxiは途中までで、その後、車で半島を越えてからもう一つのWater Taxiを使わなければならないというのだ。。。正直、意味がわからなかった。もう一度Google Mapで調べてみて、それが何を意味しているか理解した。フィヨルド地形のために、めちゃくちゃ入りんだ半島がいくつもある中にあるのでこういう行き方になるのかと。Nelsonからの片道交通費は3日分のドミトリー価格とほぼ変わらない値段だった。
そして、最初に乗ったWater Taxiを降りた後待ってくれていたのは、宿のオーナーだった。オーナーがその中間地点に置いてある車で半島を越えて、その後自分のボートで宿に連れていってくれた。ボートが着いた先はその宿しかない秘密基地のような場所だった。
さて、こんな旅の話をしていたら、いくらでも書けそうなので、だいたいどういうところなのかイメージできたと思うので、どういう過ごし方をしたのかはまた別のブログで書くとして、なぜこの宿が連続して最高評価を獲得できているのか、オーナー夫妻といろいろ話してわかったことをここから記載することにする。以下からはオーナー夫妻との会話の内容を記載する。
約20年どのように最高評価を獲得し続けられたのか?
1.時代の変化に合わせて柔軟に宿を変化させてきた。
今はあまりBackpackersには見えないけど昔から?
「初めはBackpacker向けの安宿だった。予約サイトやトリップアドバイザーのようなサイトが無かった時には、Backpackerは現地でどこにいくべきか、旅人と交流しながら決めていた。そのうちに来たことのある旅人がこの宿を別の旅人に勧め、知人に勧めてくれた。毎日、誰かの勧めで誰かが来てくれていたんだ」
「2002年にAwardに選ばれてから、少しずつ客層が変わり始めた。Backpackerも来ていたけど、Backpacker以外の人も来るようになった。毎年Awardに選ばれるようになると、ゆったり休暇を楽しむ人たちが増えてきた。そこからプライベートルームを増やしはじめた、毎年リノベーションをするようになった。期待値や求めるサービスレベルが上がっていったから」
「そしてインターネットの普及で情報を得られるようになってから、ますます客層が変わってきた。さらに、Backpackerの旅のスタイルも変わってきた。彼らはより効率的に旅をするようになった。今NZを旅するBackpackerの殆どはレンタカーを1ヶ月とか半年とか借りてそこで寝泊まりしながら旅をする。だからドミトリーに泊まる人がどんどん減った。初めは16もあったドミトリーのベッドが今は4。そして来年は完全に無くす予定。個室もプライベートバスルーム付きの部屋をどんどん増やしている。改装することは何年か先までずっと計画がある。時代に合わせて宿の変化させてきたんだ。ただゲストへの対応は特段変えてないよ」
事実、僕が滞在中3日間、4つあるベットのドミトリーは僕一人だった。個室はほぼ埋まっていた。
2.その時、自分たちが行きたいと思う宿を目指した
Backpakerが来なくなって客層が変わってどう思う?
「自分たちも20年という間にいろいろ変わってきた。今の自分たちがドミトリーに泊まりたいかというと、もう泊まることはないと思う。プライベートの個室に泊まって、自分たちの時間をゆったり楽しみたい。ただし、セルフケータリングというサービス形態は変えていない。周りにお店もレストランもないから、ご飯を提供することは何度も考えたけど、忙しくなるし、やり出したら大変。だからどんなに設備が良くなってもセルフケータリングというスタイルは変えていない」
「私たちも旅をする時はそういう宿に泊まる。その時に食事を作りやすい綺麗で機能的なキッチンが欲しいとか、暖炉のある広々としたゆったりとしたラウンジがほしいとか、そういう自分たちが泊まりたいと思う宿にどんどん改装していった。そしてせっかくだから宿の人と少しアットホームな雰囲気で会話をしたいから、私たちもどんな年代でもお母さんやお父さんになったつもりで、ゲストに声をかける。客層は変わったかもしれないけれど、少し余裕のあるBackpakerが来るようになっただけで、今もゲストが宿に求めることは変わっていない。そして私たちが接するスタンスも変わってない」
3.ミスマッチを極限まで無くすことがレビューが高い秘訣
時代に対応するように変化してきたとしても、これだけ高いレビューを維持できるのはすごいことですね。
「今は予約サイトやトリップアドバイザー、SNSが強いでしょ。昔は自ら探してきたり、知ってる人の会話を通して紹介できたものが、今は良さそうに見えるホテルが山ほど簡単に見つかってしまう。レビューでさっと決めてしまう。その人が何を求めていて、そのニーズに合うかどうかは、あのレビューではわからないのに。そして、今のBackpackerもわかりやすいところ、有名なところに行ってしまう。絶景で誰もがわかりやすいところに行ってしまう」
「ここはガイドブックでもおススメスポットにも紹介されてないところ。私たちも本当は出したくなかったけど、予約が少ない時期は最近Bookingで出し始めた。それからはミスマッチが起きた。それでも9.9を獲得できた。あのレビューが下がれば、予約に直結するのわかるでしょ?それは当時インターネットのない時代から同じこと。でもドミトリーがなくなる来年からはもうBooking.comに出すのはやめる」
「ミスマッチを起こさせないのが、高評価につながる。人は良いと思うことは人それぞれ。だから、この宿に合うと思う人に来てもらうようにすること。それは情報の発信の仕方と予約の時のコミュケーションである程度選別できる。合わない人が来るともちろん評価は下がる。そしてミスマッチはお互いに不幸」
「あなたにメールで送ったでしょ。ここまで来るために滞在費用と同じくらいお金がかかるから、前日予約で予約が完了しているけど、キャンセル料は取らないからキャンセルしてもいいのよって。でもあなたは来た。そういう場所でもあなたが求めるものがここにあると思って来たのよ、で結果はどうだった?」
求める全てがここにありました(笑)
「ただ、そのマッチする内容も時間と共に変わっていく。評価が上がれば期待値も上がる。その期待に応えていくためには、必然と改善が必要になり、投資をする。だから設備や機能が良くなるのは当然。その結果値上げもしてきた。だから安い旅や安い宿だけを探している人はここには来ない」
「あと、これは大事だなことだから言っておくけど、評価が下がると期待値も下がる。そうなると自分たちもこれで良いかと思うようになる。そうすると、改善も後回しになっていく。その結果また評価が下がる。値下げをする。期待値が下がる。利益率が下がりお金に余裕もなくなり、何も改善できなくなる。このループに入れば終わってしまう。私たちは最初に決めた価格を下回ったことは一度もない。投資を継続して設備のグレードを上げて値上げをしている。値下げなんて誰でもできること。そうしない方法を考え出さないとね」
その考え、完全に同意です。僕はまだ宿をはじめて3年目ですが、何かアドバイスとかありますか?
「あなたのゲストハウスは10年後あなたが行きたいと思うゲストハウス?」
「ニーズがあるものにサービスを作ることは簡単なこと。でもそれがあなたがやりたいことかということも考えないといけない。あなたがやりたいことでないと続かない。マーケットのニーズに合わせることも大事だけれど、それよりもあなたが宿を通して何を実現したいかを大事にして。あなたの嗜好がそんなに変わったものでなければ、常にあなたが行きたい宿を目指して少しずつそれを作り上げていけば良い。たぶんあなたは大丈夫だから自信を持ちなさい。その方が楽しいし、続けられると思う。私たちはドミトリー中心のBackpakersから始めて設備面や部屋構成などは変えているけど、この場所のPiecefulとHeavenな世界を多くの人にシェアしたいという気持ちでやっている。だからセルフケータリングのスタンスは変えずに個室もそんなに値段も高くない。そして見てよ。20年かかってもまだ改装しているのよ。この宿は進化して成長を続けている。この場所は多くの人が必要としている場所だと思うから」
僕の拙い英語で会話しているので、会話文として脚色しているというか、一部想像で書いているところもあるが、だいたいこんなことを言っていた。
本当に最高の滞在だった。雷鳥のある乗鞍高原に通じるところもあり、本当にリラックスできて、こんなに1日の時間が長いと感じたのは始めてくらいの時間の長さだった。同じ時、偶然に日本人の女性2人が泊まっていたんだけど、その一人は9年前にも一度来たことがある方だった。僕も間違いなくリピートしたいと思うところ。
あまり教えたくないんだけど、Mike and Lynleyが昔はもっと日本人が来ていたけど、最近は減っているからもっと来て欲しいと言っていたので、このブログを最後まで読んでくれた人には紹介したいと思う。
最後に、ゲストハウス雷鳥はこのHopewell Logeと同じように、大自然に囲まれたノイズレスな場所です。その雷鳥が新たな滞在プラン、ノイズレス・ステイをリリースしました。特に何かをゆっくり、じっくりと考え、アウトプットを出したい方にオススメの滞在プランです。詳細は以下をクリックして下さい。