アドベンチャーツーリズムを考える

 コロナで目先がとても心配だけど、コロナ状況下でビジネスを考えるより、僕はこの後のビジネスに頭を使おうと思っている。きっと乗り越えた先に少し変化した世の中になり、みんなが思い描いている理想に少し近づくと思うし、反動でみんな旅に出たくなるのではないかと思っている。

 今日の記事は日本のアドベンチャーツーリズムについて

 ニュージーランドでは1980年代からアドベンチャーツーリズムが注目され整備がされている。日本は数年前からこの言葉が使われるようになっており、最近良く耳にする言葉だが、日本のアドベンチャーツーリズムは完全に遅れている=ポテンシャルが大きい。

アドベンチャーツーリズムについての詳細はこちら
観光統計2020特別版 ~2020年の旅行予測~
日本におけるアドベンチャーツーリズムの可能性
地域の資源を活かすアドベンチャーツーリズム

【日本と世界の違い】

 昔から例えば冬で言えばバックカントリーなどの遊びをしている人はいる。しかし今までは一部のちょっと普通の感覚とはズレた変な人がやる遊びみたいな印象があった(笑)

 アクティビティーツアーも日本にも昔からある。しかし忙しい日本人は、今もまだバブル型の消費で短い時間の観光旅行消費が主流のため、アウトドアアクティビティーツアーも短期、単発の商品が多い。それか中高年狙いだ。
 特に日本のファミリー層は危ないことはしない。整備されたキャンプ場でのオシャレキャンプが主流だ。お金も日本だけ道具への消費の方が体験の消費より大きいという不思議な市場。どこでそれを使うのかというより、まずは見栄えを選ぶ不思議な民族(笑)

 僕がここ乗鞍高原でゲストハウスをやっていると、この乗鞍高原を日本の旅の中で選ぶゲストという理由もあるが、世界の旅行者の感覚と日本人とのギャップを感じる。また自分が旅をしてても同様に思う。欧米だけでなく最近はアジアにも広がっているが、3日,4日滞在型。そして体験(シーン)への消費を惜しまない。さらに世界の大人は小さい子供を連れてガンガンと冒険に出る。もしくは子供をどこかに預けて大人だけで冒険に出る。自分がそういう環境にどっぷり浸かっているというのももちろんあるけれど、今じゃBCやってる人の方が健全だなと思うくらいになった。

冬の乗鞍岳登山

【自分のニーズと市場のニーズは重なっている】

 僕は、自分や自分に近い人たちがやりたいと思うことは、市場の中で潜在的にニーズがあると思っている。よく言われるんですよね。おまえみたいな生き方に憧れるとか、羨ましいとか。後輩からも。年上の方々からも若かったらそんな人生を送ってみたいと言われることもある。

 あらゆる物が手に入り、便利になり、情報が溢れる中で、人々の潜在的に求めるニーズが、生きている実感とか、挑戦とか、冒険とかそういう人間らしい本能の方に向かっていると以前から感じている。

 そして、自然と冒険は奥が深い。人の欲はよりディープな自然と冒険の世界に誘う。本能に従って。

 僕は学生時代に登山(夏)とスノーボードにはまった。

 会社勤めになり、それらをすることは年に1,2回となり、日帰りとか1泊2日の旅行になった。またやるのは引退してから?なんて頭をよぎることもあったが、もっと今を大切にして自分の好きなことに時間を使いたいと思い、リーマンを辞め、やりたいことをどんどんするようになった。

 乗鞍に移住したその年にBCデビューもした。時間を作って海外のトレイルを歩くようになった。どんどん冒険欲が掻き立てられていく。今年は冬山登山技術を基礎から学びなおして、あまり無理はしないが、行きたい山がいくつもある。今年の冒険の計画はすでにいっぱいなのだ。やりたいことが山ほどある。

 これ、僕が特殊のように見えるかもしれないが海外に目線を合わせると普通のこと。もう秋の宿泊予約が結構入っており、来年の冬のツアーの問い合わせも数件もらっている。こちらがお客様に合わせてもう来年の準備していかなければならない。

 日本人は独特だから独自の動き方をするのはこれからも残ると思うけれど、若い世代をみれば、海外と同じような方向に流れていくと思っている。仕事はもちろん大切だけれど、もっともっと自分の楽しみを主軸に人生を送る人が増えると思う。

 そうなると、未来を見据えた時にどこに目線を合わせるのか。日本の余裕のある中高年ではない。目先だけなら中高年でもいいけれど。若い人にターゲットを合わせていかないと未来は見えない。

冬の乗鞍岳登山

【日本が目指すアドベンチャーツーリズム】

 僕が最近行ったニュージーランドやネパールではどこのホステルやゲストハウス、ホテルだってツアーのチラシがわんさか置いてある。日本はまだまだほとんど見かけず、イベントのチラシばかり。海外ではある街に滞在しながら往復4時間くらいかけての日帰りツアーなんかもわんさかある。今もインバウンド旅行者は東京に滞在しながら日帰りで湯沢や長野にスキーに出かける人もいる。

 それでは世界という市場の中で日本でどんなアドベンチャーツーリズムが有効なのか。そして自分事となると、その中で乗鞍高原ではどういうアドベンチャーツーリズムが有効なのか。

僕なりの考えを簡単にまとめると以下だ。

夏は欧米がメインターゲット

 熊野古道に代表されるような歴史・文化ストーリー性のあるトレッキングルートの整備。山岳信仰、修験、狩猟、自然と共にある伝統的な暮らし方を体験できるツアー。

 夏は正直言って、自然のみで世界の自然と対峙するのはなかなか難しい。そして北アルプスをガンガン開放して裏銀座などが混み合う姿も想像したくない。NZのような規制をして開かれるなら別。

 日本の持っている固有文化との掛け合わせが独自性を生み出し、欧米の訪日欲を掻き立てる。プレミアムツアー、人数限定の商品でオーバーツーリズムを抑制する。ツアーではなく個人で楽しむなら通行券などを購入して毎日入山できる人数を制限した方が良いと思う。乗鞍に来る富士山に登った海外ゲストの多くは富士山にがっかりしている。

冬の乗鞍岳剣ヶ峰(3026m)

冬はアジアがメインターゲット

 通常我々が楽しんでいる冬のアクティビティーがそのままアドベンチャーツーリズムとしての商品となる。もちろんそこに日本固有の文化を混ぜるとなお良いと思う。

 温暖化という問題もあるが、日本の雪はとてつもない資源。欧米豪では「パウダー」がすでに高い商品価値として知られているが、アジアはまず雪を見るだけで感動する。自国では雪が見れず、同じアジアで近距離で雪景色を楽しめる場所が日本なのだ。
 さらに、中国は空前のスキーブーム。東南アジアも経済発展によってスキーをしていることが一つのステータスになってきている。台湾・香港などはアウトドアブームで登山者が増えている。台湾人ガイドツアー会社の赤岳の冬山訓練ツアーが毎回定員に達して大好評なのをどれだけの人が知ってるか?冬の西穂山荘だって台湾・香港人が多いらしい。

冬の上高地ツアー

ここで大事なのがリピートだ。スキーやスノーボードは1回の旅行でうまくなるわけではない。しかし彼らはうまくなりたい。目標を持たせて何度も体験して成長してもらうような商品が有効だと思う。さらに、、、、

と書きたいことは沢山あるけれどここからは企業秘密にしておこうかな(笑)
ゲストハウス雷鳥が新しい商品を出していくので台湾・香港・シンガポール・マレーシアからのリピーターが日本人と同じような感じで増えており、季節毎に来たり毎年冬に来たりする。

 僕はガイドより営業や商品開発の方が得意なんで、自分が体験して良いと思うことを商品化して、セールスし、実際のツアーは他の人にやってもらった方がいいなと最近思っている。

 固有の文化と掛け合わせたアドベンチャーツーリズムが観光消費の主流。宿単体での差別化はほとんどできないんですよ。それはアドベンチャールーリズムが旅の目的であって、宿はその次、むしろ宿はアドベンチャーを体験するための手段。そりゃ消去法や単純な機能や値段の比較になりますよね。だからこそ、アドベンチャーと宿を一緒に売ることが差別化になると思っている。

※実は最後が一番言いたいことでした。最後まで読んで頂きありがとうございます。

来年は冬山訓練のツアーも出していく予定です。

そして世間は3月になると雪と離れたくなるようですが、3月末までスノーシューもスキー・スノーボードも楽しめます。
ゲストハウス雷鳥のスノーシューツアー

GWからは春山スノーハイクツアーもありますよ!!
残雪を楽しむ乗鞍岳春山スノーシューツアー

GW頃の乗鞍岳位ヶ原

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