営業職を通じて学んだこと

もうすぐ夏の登山シーズンですね!!待ち遠しい!!(写真は乗鞍岳剣ヶ峰です)

すっかりご無沙汰してしまっているブログです。
GWに突入、その後のインフルエンザ、補助金申請などが重なりバタバタしておりました。登山シーズンを前に乗鞍高原は新緑の季節真っ只中なのですが、その新緑にハマっています。


新緑ってほんとに美しいですね。
しかし、この新緑の季節はなぜかお客さんが少ない。。。ということで来年はもっと新緑にフォーカスを充て、戦略を練りたいと思います。

さて、今日は起業やビジネスという観点のブログです。
この話題としては1ヶ月以上更新できておらず、どういう経緯で脱サラして起業に至ったかもう一度確認したい方、またこのブログをはじめて読むという方のためにも、起業に至る背景となる以下のブログのリンクを載せておきます。
人生の転換点 前半 東北・仙台時代
人生の転換点 後半 人生を変えた一言

前回は会社を辞める決断までの背景を説明しました。
その後、仕事のいろんなタイミングもあり、マチュピチュから帰ってから2ヶ月後に会社に正式に退社の意向を伝えました。退社を決意しても、今度はその退社の意向を上司などに伝えるまでに壁があります。今までお世話になった会社の様々な方々を裏切る行為なのではないか、とか、誰かに迷惑をかけるとか、そんなことを考えてしまいます。

私の場合はタイミングがありました。
新たなミッションを任せられそうになり、一旦それを受けてしまうと退社できない。だから私はそのミッションを断ると同時にその理由は退社したいと思っているからだと、会社にその意向を伝えました。

今でもそうですが、前職場にはとても感謝していますし、何かで恩返しできたらいいなと思っています。
私が今このようになんとかこの乗鞍高原でGuesthouseを正式オープンして1年、遅滞もなく借入の返済をしながら無事過ごせているのは、前職場で培った様々な経験のお陰でもあります。偉そうなこと言う前にまず3年しっかりやれ、と突っ込まれそうですが、3年後も生き延びるためにこのブログも書いています。

今日は、私が大学卒業後の約10年という期間、前職場で何を学び、そして今それをどう活かしているのかについて少し記載したいと思います。
私は前職場の営業という仕事を通して多くのことを学びました。細かい営業・提案・経営的なスキルはもちろんですが、起業して事業をしていく上でとても大切なことを学びました。いくつかありますが、その中でも特に重要な以下の2点を記載します。

1.『戦略とは違いを作ってつなげること=物語のようなストーリーになっていること』

起業するにあたって、ただ「これがやりたい」というような想いだけやっていけるほど世の中甘くはないですよね。バブル期のように何か特別なことをしなくても、市場が伸び、売上が増加していくことが期待できない現代においては、やはり戦略を考えないとビジネスを軌道に乗せることは難しい。なので当たり前の話ですが、商品は必ず周りとの違いを作る必要があります。そうしないと消費者からするとほぼ同じような商品に見え、選択されないのは言うまでもありません。会社の資源は有限です。いくらでもお金があるなら、違いを作ることも容易でしょう。しかし、起業するにあたって潤沢な資金がある人なんてごく一部でしょう。なので限りある今の資源をしっかりと見極め、競合分析をして、そこで違いを作っていくことが重要となります。

次に後者の部分「違いをつなげる」ということがさらに大事です。というのも、ニッチな部分で初期に顧客を確保できたとしても、それを真似るところが出てくるのが世の常だからです。それは悪いことではなく、真似るところが出る=ビジネスが上手くいっているということでもあります。そのまま何もしなければ、その競合と単にニーズを分け合うしかなく、先行利益のみでその後の伸びは期待できないどころか、 さらに参入される可能性があります。よってその違いをさらに「複雑に」つなげていく必要があるのです。
あまり暴露しすぎると、Raichoの経営が傾くので、私が起業して宿をやろうと思った時のさわりだけ紹介します(笑)

まずそのエリアの現状について整理します。
エリアの魅力、エリアでの宿の形態と数、どのような人をターゲットとしているか、ポテンシャルとしてどのようなターゲットがあるのか、ニーズを満たしていないところはないか、などです。
次にそれらの分析からターゲットを定めます。
そして、そのターゲットから選ばれるために「違い」を作っていきます。

ゲストハウス、温泉付きゲストハウス、自炊スペース、そして、、、、、と違いをつなげていく。
何をどうつながているか想像つきますでしょうか?

これが続けば続くほどそして、複雑につながっていくほど、その戦略は優れているということです。この3つを並べるだけで、どのようなお客様がどういう目的のために、なぜここを選択し、どのように滞在しているか少し想像できると思います。それがストーリーです。この違いが繋がっていけばいくほど、そのストーリーももっと具体的になっていきます。

もう一つ戦略という観点で重要なこととして、「やらないことを決める」ということですね。
何かをやろうとした時には、やることをどんどん決めていくことになりますが、逆に「これはやらない」ということを決める方が実は重要だったりします。

一例を挙げます。
Raichoは必要に応じて朝食を提供していますが、実は皿洗いもゲストが行うセルフスタイルです。
一番の理由は必要最低限のサービスで安価に滞在を実現するためです。番外編の理由として、これは私のトラウマのような個人的な感情もあるのですが、私は高校生の時にとんかつ屋でアルバイトをしていて、皿洗いがメインだったのですが、毎日何皿洗うんだというほどの量を洗い、もう皿洗いが嫌になってしまったのです(笑)。また自分がアトピーで、洗剤(無添加でも)で手がとても荒れて、ひどい状態になっており、皮膚科の先生から水仕事は絶対にダメと言われているというのもあります。
「皿洗いをやらない」これは聞こえは微妙ですが、深く考えるとこれが一つの「違い」であり戦略にもなっています。

そして、「違い」には、目に見える物質的な違いと、オペレーション(運営)の違いがあります。
温泉、ゲストキッチンは前者、ゲストハウス、皿洗いをしない(セルフ朝食)というのは後者です。※ゲストハウスは宿の運営形態の一つだからです。
実は、前者よりも後者を充実させていくことの方が難しく、後者が充実していると複雑な違いとなり、他がなかなか真似できない強い戦略となる場合が多いですね。

以上の戦略論については、直属の上司から、耳にたこができるほど聞かされ、実践の中で教わっていました。
私は戦略家になれたかと言われると、10年経っても全然でした。上記の記載内容ではその元上司から不十分だと確実に言われますが、この程度の理解でも今の事業を進める上ではとても役に立っています。

2.『人は最後は人から物を買う』

これは営業の中で嫌という程実感しました。
結論から言うと、
「どんなに優れている商品であっても、売っている人間が信頼できなければ買わない」
逆を言うと、
「ほぼ同様の商品が売られている場合(ある商品と比べて性能なりが少し劣っていた場合も含む)、人は信頼できる人間から買う」
ということです。

これは皆さんも経験あるのではないでしょうか(車とか)。もちろん、圧倒的に商品に差があれば別です。
ちなみに例外はブランドです。それを持っていることで何かのステータスになると人を介さずに購買行為が発生します。よって、戦略にはブランディングという要素も重要になってきます。ただし、ブランドが先行しすぎると、商品の品質なり価値がブランドイメージに追いつかず、もしくはお客様との価値のズレが生じ、ブランドが崩壊する可能性もあります。

私は天気予報を元にした商品(リスクマネジメント)を売っていました(どんな商品かは想像つかないと思いますが)。そして天気予報でも競合はおり、一般の人からすると似たようなサービスを提供しているところがいくつかありました。またそのサービスがカタログのような商品ではなく、目に見えないもので、不確定要素もかなりあります。サービスがないにも関わらず、提案書のみでこれからサービスを作るといって契約を取ってくることもよくありました(笑)。このように一般的には違いがわかりずらい、サービスがまだないような場合でもビジネスは成立します。そのような場合は、必ずお客様と信頼関係が築けていました。時に信頼関係が構築されてないにも関わらず売れることもありますが、そういう場合は、サービス開始後にクレームの山、もしくは大抵すぐにロスト(失注)しましたね。ビジネスが大きくなればなるほど担当同士は硬い絆のようなところまで信頼関係が構築され、会社対会社でも様々なレベル(究極的には社長対社長)で構築されているはずです。

これを前の職場ではリレーションシップマーケティングと言ってました。

宿であっても、結局は宿を運営するスタッフがとても重要だということです(当たり前の話だと思いますが)。
どんなに料理が美味しくても、どんなに設備が良くても、どんなに温泉が素晴らしくても、スタッフに魅力がなく、信頼できるような人でなかったらお客さんは遠のいてしまうということですよね。逆に言えば、多少設備が古くても、サービスが不十分でも、スタッフに魅力あり信頼できる人であれば、お客様との信頼関係が構築され、お客様から選択されるでしょう。究極的に言えば、そのスタッフに会いに来るということになります。
我々Raichoスタッフもお客様と信頼関係を築くために、お客様への対応についてはこれが正しいのか?と日々悩みながらやっています。また自分自身が少しでも魅力ある人間になるための努力もしている(と思う)かな。

商売によっては、直接何度か会ってから買うとはならないことも多いですよね。リピーターは別ですが、宿や飲食店などの新規がこれに当たります。下見をする人もいますが。上記の記載内容から何が言えるかというと、もちろん受注(予約が入って実際にチェックインしてから)後の信頼関係の構築は大事なのですが、新規のお客様を獲得するためには、お客様が宿、食事の場所などを決める際に、どういう人たちが、どんな想いで、何を目的に商売をしているのか、が予め伝わると良いということです。なかなか難しいところではあるのですが、具体的に言うと、「単にこういうサービスのある宿です、こういうものを使った料理です」ではなく、お客様に滞在を通して、もしくはこれを食べてもらうことで、「どうなってほしいか」、という想いがあり、そうなるためにどのようなサービスをしているのか、それを提供している人はどんなことを考え、どんなことを大切にして生きている人なのか、が伝わると良いと思います。人はその部分に共感なりをして、会う前から宿の人たち、飲食店の人たちがどんな人なのか、だいたい理解しているくらいがいいですね。先にお客様が事前情報で店を信頼するというところまでいけるのがベストです。そのようになると、数ある選択肢の中から選択されるでしょう。
Raichoもこの点はもっと強化せねばならないところです。

偉そうなことを言いましたが、自分でも今日このように文章で記載することによって、改めて明確になることもあり、「理論がわかっているなら実践しろよ」と自分に言いたくなりました(笑)

これができれば上手くいくというものではありませんが、少しでも参考になれれば幸いです。

さて、冒頭でも紹介しましたが、ここ乗鞍高原はまだまだ新緑の美しい季節。

そして山にはたっぷりと雪が残っています。
梅雨には入りましたが、晴れる日もありますし、雨に濡れた木々も綺麗なんです。夏、一斉に日本民族大移動が発生する前に、少しゆっくりしに乗鞍高原に来てみませんか?

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